さとみクリニック - トピックス

風疹まとめ ~傾向編~


今年大流行している風疹。
全国で昨年1年間に報告された患者数が2,400人ほどだったのに対し、今年は6月上旬の時点で早々と10,000人を超えました。現時点で昨年1年間の4倍以上、去年の同じ時期とで比べると実に30倍以上の患者数となっており、数字の上からもその猛威の様がまざまざと見て取れます。
最近では新聞やニュースで風疹を見聞きしない日はありません。
ここでは風疹の症状や特徴、そして何故こんなにも騒がれているのか、その危険性についておさらいしてみたいと思います。

風疹とは?
風疹とは、その名の通り風疹ウィルスによっておこる感染症で、2~3週間の潜伏期間を経て38度以上の発熱、その翌日くらいには顔から出始め全身に広がってゆく小さくて細かい赤い発疹(※目で見て分かる皮膚に現れる病変のこと)、耳の後ろや後頭部のリンパ節の腫れなどの症状が現れます。
これらの諸症状は子供の方が比較的軽い傾向にあるのですが、ごくまれに重度の合併症を併発する場合もあるので、決して軽視はできません。
また、大人がかかると症状が長引くことが多く、ひどい関節痛を伴うこともあります。
ウィルスに感染しても、明らかな症状が出ないまま免疫のできてしまう方もいらっしゃいます。ちなみに風疹は一度かかると、免疫力が著しく低下している場合などを除くと、ほとんどの方は生涯二度とかかることはありません。
感染経路は飛沫(※せきやくしゃみ、会話で飛び散る唾液のこと)によるもので、発疹の出る数日前から感染力があり、その後一週間ほどはウィルスを出し続けます。その感染力は同じくウィルス感染症である麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)ほど強くはありません。
ここまで読まれると、「ただの風邪みたいな症状だし、特別これといった危険も見当たらないし、なにもそんなに大騒ぎしなくても…」といった感想を持たれることと思います。
しかしその隠された刃の矛先は、思わぬ方向へと向かいます。

先天性風疹症候群
妊婦、特に妊娠初期の女性が風疹にかかると胎児が風疹に感染し、難聴や白内障、心疾患、そして精神や身体の発達の遅れなどの障害をもった赤ちゃんが産まれる可能性があります。
これらの障害を”先天性風疹症候群”といいます。
もちろん先天性風疹症候群の赤ちゃんがこれら全ての障害をもって生まれてくるわけではありませんが、複数の障害を併せ持ってしまうこともあります。
また、先天性風疹症候群がおこる可能性は風疹にかかった妊娠時期により違いがあり、特に妊娠初めの12週までは特にその危険性が高いことが認められています。妊娠していることに本人や周りも気づいていない、無防備な時期に感染してしまうおそれもあるのです。
テレビ局のインタビューに先天性風疹症候群のお子さんをもつお父さんが、「(先天性風疹症候群の診断は)こどもが生まれてくるという希望が絶望に変わった瞬間」といった内容の発言をされていましたが、子供を授かったことを歓喜し、その誕生を心待ちにされていたご両親がどれほど嘆き悲しんだのか、その苦悩の程は想像するに堪えません。